障害年金と労災給付に関するQ&A

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2022年07月01日

障害年金と労災給付に関するQ&A

Q労災でも障害年金を受給できますか?

A

 労災で負った怪我や病気が障害年金の受給要件を充たしていれば受給できます。

 障害を負うことになった原因が労災によるものであることは、障害年金の受給を妨げる要因とはなりません。

 そのため、労災で負った怪我や病気が障害年金の支給対象となる認定基準に達する程度のものであれば、障害年金を受給できる可能性があります。

Q障害年金と労災保険給付は同時に両方とも受給できますか?

A

 同時に受給できますが労災保険給付の金額が調整されます。

 

1 障害年金と労災保険給付は同時に両方とも受給可能

 労災保険給付(障害(補償)年金、傷病(補償)年金)と、障害年金(傷害基礎年金・障害厚生年金)は同時に受給することができます。

 

2 障害年金と労災保険給付を同時に受給する場合の併給調整

 もっとも、労災保険給付と障害年金の支給原因が同一の事由によるものである場合は、併給調整がなされることになります

 併給調整がなされるのは、両制度からの年金が調整されずに支給されると、受け取ることのできる年金額の合計が、労災に遭う前に得ていた賃金よりも高額になってしまうためです。

 

3 併給調整の方法

 労災保険給付と障害年金の併給調整は、労災保険給付の支給額を下表の%をかける方法によって行われます(障害年金は全額支給されます。)。

    

 厚生年金+国民年金

 (=障害厚生年金1級または2級の場合)

 厚生年金のみ

 (=障害厚生年金3級の場合)

 国民年金のみ

 (=障害基礎年金1級または2級の場合)
 障害(補償)年金 73% 83% 88%
 傷病(補償)年金 73% 88% 88%

 ※労災保険からの特別支給金については調整の対象とはなりません。

 ※調整後の労災保険給付の金額と障害年金の合計額が、調整前の労災保険給付の金額を下回ってしまう場合は、調整前の労災保険給付の金額から障害年金の支給額を差し引いた金額が労災保険給付の金額となります(=労災保険給付と障害年金を併給しても被災者の方に損が出ないようになっています。)。

 ※20歳になる前に初診日がある障害について障害基礎年金を受け取っている場合に労災保険給付も受け取る場合は、障害基礎年金が全額支給停止となります。

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