心筋症で障害年金が受け取れる場合

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 武田彰弘

最終更新日:2024年02月05日

1 心筋症とは

 「心筋症」とは、心臓の筋肉の病気ということを意味します。

 心筋症に拡張型心筋症が代表例ですが、他にも肥大型心筋症、拘束型心筋症があります。

2 障害年金の等級

 障害年金の等級は1~3まであり、心疾患による障害の認定基準は1級が身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号(他の症状についての1級の基準)と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの、2級が、身体の機能または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの、3級が身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を 加えることを必要とする程度の障害を有するものとされています。

 より具体的には、下記のように規定されているので、このような要件に該当する場合には、障害年金の等級が認定されます。

 

1 級 

 病状(障害)が重篤で安静時においても、心不全の症状(NYHA心機能分類クラスⅣ)を有し、かつ、一般状態区分表のオに該当するもの。

2 級  

 ①異常検査所見のFに加えて、病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの。

 ②異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち2つ以上の所見及び心不全の病状をあらわす臨床所見が5つ以上あり、かつ、一般状態区分表のウ又はエに該当するもの。

3 級

 ①EF値が50%以下を示し、病状をあらわす臨床所見が2つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの。

 ②異常検査所見のA、B、C、D、E、Gのうち1つ以上の所見及び心不全の病状をあらわす臨床所見が1つ以上あり、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの。

なお、異常検査所見、一般状態区分表は以下のとおりとなります。

 

異常検査所見

 A  安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは0.5mV以上の 深い陰性T波(aVR誘導を除く。)の所見のあるもの。

 B  負荷心電図(6Mets未満相当)等で明らかな心筋虚血所見があるもの。

 C  胸部X線上で心胸郭係数60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性 肺水腫のあるもの。

 D  心エコー図で中等度以上の左室肥大と心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能 の制限、先天性異常のあるもの。

 E 心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性不整脈所見のあるもの。

 F  左室駆出率(EF)40%以下のもの。

 G  BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が200pg/ml相当を超えるもの。

 H  重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に50%以上の狭窄、あるいは、3本の主要冠 動脈に75%以上の狭窄を認めるもの。

 I  心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの。

 

一般状態区分表

 ア 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふる まえるもの。

 イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業は できるもの 。例えば、軽い家事、事務など。

 ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、 軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの。

 エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中 の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能とな ったもの。

 オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、 活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの。

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