うつ病で障害年金を請求する場合にポイント

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 武田彰弘

最終更新日:2022年12月26日

1 うつ病の障害認定基準

 国民年金・厚生年金保険の障害認定基準において、うつ病は「精神の障害」の「気分(感情)障害」に区分されており、例えば、症状の内容や程度が以下の水準に達している場合は、障害年金の受給の対象となり得ます。

 

障害の程度  

障害の状態

1級

高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの

2級

気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又は頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級

気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの

 

2 うつ病で障害年金を請求する場合のポイント

⑴ 障害年金の請求において、気分(感情)障害は、本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものであると考えられています。

 それゆえ、現症のみならず、症状の経過やそれによる日常生活における活動等の状態も十分に診断書や病歴・就労状況等申立書等に記載する必要があります。

⑵ また、日常生活能力等の判定にあたって、現に仕事に従事している方については、労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したものと捉えてはならないとされています。

 具体的には、その方の療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断することとされています。

 したがって、仕事をしているからといって直ちに障害年金の受給ができなくなってしまうというわけではありません。

 仕事をしている方については、就労の実態、職場での援助や配慮の有無やその具体的内容を具体的に立証することが有益です。

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